経営者としての「心構え」と「羅針盤」
起業家養成講座でビジネスのイロハを学んだつもりでいた私でしたが、それはまだほんの入り口に過ぎませんでした。 経営とは、単にモノやサービスを売るという単純なものではなかったのです。数多くの会社が生まれては消えていく厳しい現実の中で生き残るためには、経営者としての確固たる「心構え」と、進むべき道を示す「羅針盤」が不可欠でした。

倫理法人会で学んだ人としての心のあり方
まずは倫理法人会で、経営者としての資質の向上と心のあり方を学びました。その学びは、私にとって驚きの連続でした。 どんなに成功しているように見える経営者でも深い悩みを抱えていること、そしてその原因の大半は人間関係にあること。さらに、その問題を解決するために必要なのは、相手を変えることではなく「自分自身の考え方と行動」を変えることなのだと知りました。

毎週開催されるモーニングセミナーで先輩経営者の生々しい体験談を聞くたび、自然と涙が溢れました。 どん底を味わったのは自分だけではない、もっと壮絶な苦境を乗り越えてきた人たちがたくさんいる――その事実に勇気づけられると同時に、事業云々の前に「人としてやるべき基本」が自分には抜け落ちていたと痛感したのです。 状況は依然としてジリ貧のどん底でしたが、どんなときも「感謝」と「笑顔」だけは絶対に忘れないと心に誓いました。すると不思議なことに、少しずつ周囲に人が集まってくれるようになったのです。これまでは、私自身の頑なな態度が人を遠ざけていただけなのかもしれません。
同友会での猛特訓と「経営指針書」という羅針盤
一方の中小企業家同友会では、月1回の例会を通じてより実践的なビジネスの学びを深めました。「論語と算盤」で例えるなら、倫理法人会が「論語(心のあり方)」であるのに対し、同友会は「算盤(経営の実践・戦略)」を学ぶ場でした。
そこで強く受講を勧められたのが、「経営指針を創る会」でした。 当時の私には手元の資金がまったくありませんでしたが、これも自己変革のチャンスだと素直に受け止め、例外的に分割払いをお願いして受講を決意しました。
その「経営指針を創る会」は、言葉を失うほどの濃密さと厳しさでした。 まさに経営者の「虎の穴」。一度足を踏み入れれば、修了する頃には別人のように性格が一変します。弱気だった人が堂々と自らの理念を語れるようになり、自信過剰だった人は見違えるほど謙虚になって帰っていく――それほど壮絶で本質的な学びの場でした。

半年間の格闘の末、私はようやく経営者としての真の「覚悟」を身につけることができました。自らの想いを注ぎ込んで完成させた「経営指針書」は、荒波の中で進路を照らす羅針盤となり、目先の出来事に一喜一憂することなく一歩一歩前へ進む力を与えてくれたのです。
かけがえのない仲間、そして次の試練へ
苦境の中で出会った経営者の方々は、単なる仕事上の関係を超え、悩みも懐事情もプライベートさえも分かち合える、まるで親戚のようなかけがえのない先輩や仲間となりました。

学びと出会いを重ねるにつれて事業は軌道に乗り、業績も着実に右肩上がりへと転じていきました。
あの恐ろしいウイルスが、世界を一変させてしまうまでは。
【続く】